我々の伴侶動物医療に対する基本的なコンセプト,「どうぶつにやさしい医療」.ではどうぶつにやさしい医療とは何なのか.簡単に答えの出るような問題ではありませんが,常に意識することでより「やさしい医療」が実現できるものと考えます.
我々の使命は,伴侶動物の医療と,動物を愛する人の心のケア,それによる社会貢献です.常にこれらを意識して,我々は動物のために何ができるのか,社会のために何ができるのか考えていきます. また治療に関しては,特に皮膚科学の最近の変化は「標準化」がキーワードです.「標準治療」とはある病気を治すにあたって,「こうすれば一番治る率が高い」と言う治療法です.標準治療を提供するにはある程度の高い技術力が必要であることがあります.
当院は,炎症性疾患(膿皮症,犬アトピー性皮膚炎等)でも、腫瘍性疾患(悪性の皮膚腫瘍)でも,標準治療を提供できるように技術を維持または向上に努めています.
皮膚の状態を整理しなおし,診断が確定すればおのずとやらなくてはいけない治療方法が見えてきます.病気の原因を取り除き,症状が治まれば投薬を止めることができます.皮膚病の原因の特定には細菌や真菌などの感染症確認検査,ホルモン検査,アレルゲンを特定する検査,皮膚細胞病理検査など色々な方法があります.皮膚病は色々な要因が重なって発症することが多く,他方向からの原因追及が必要です.病気にはそれぞれ使っていい薬剤といけない薬剤があります.特にステロイドは使い方を誤ると副作用で苦しむこともあります.
動物の表皮は人の1/3の厚みしかありません.さらにターンオーバーもひとより早く20日といわれています.要するに人よりもデリケートな皮膚をもっているのです.また人と同様スキンタイプも乾燥肌,敏感肌,オイリー肌など様々です.このスキンタイプをしっかり把握しておかないと的確で安全なケアはできません.シャンプー剤の種類やシャンプーを行う時間,間隔を皮膚科に精通した獣医師に判断してもらうことが重要です.