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神奈川 川崎 麻生区の皮膚病治療クリニック。斉藤動物病院です。一度ご相談ください

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家族が知っておくと良いこと 皮膚病編HEADLINE

動物の皮膚病 治療成功への近道

動物の皮膚病 〜家族が知っておくと良いこと @〜

 我々動物病院の現場において“皮膚病”での受診率は非常に高く、犬ではトップを占めています。家族の一員として動物の皮膚病を理解するために必要なことがらについて今後4回に分けて解説していきます。
皮膚は単に体を包む袋ではなく、厚さ2100mmの角質層を最前面にさまざまな外的環境や物理的、化学的、細菌などの刺激から、動物の体を守るバリアの役目を果たす大切な防御器官です。しかも最大の臓器であり、大型犬では約1m2の面積をもち、内部の生命活動が環境などの変化に影響を受けないよう、一定状態を保つように働いています。皮膚は、内側から皮下組織、真皮、表皮の3部で構成されています。表皮の深層から生まれた細胞は角化という変化をたどりながら表層に押し上げられ、最終的に垢として表皮から脱落します。このような細胞の変化と入れ替わりをターンオーバーと呼び、人では4050日ですが、動物では約20日と短く、それゆえ動物の皮膚は常にデリケートであるといえます。特に脂漏症のアメリカン・コッカー・スパニエルなどは、表皮のターンオーバーが正常時より極端に短く7日という報告があります。また、人の皮膚のpHは弱酸性ですが、動物の皮膚のpHは弱アルカリ性に保たれています。そのため動物の皮膚は人の皮膚と比べて雑菌が繁殖しやすい環境にあるといえます。
皮膚は“内臓の鏡”とも言われており、全身的な健康状態、内部疾患に対する重要な指標としての役割もあります。まずはみなさんの愛する動物の皮膚の状態、被毛の状態を日々観察することから、健康管理は始まるといえるのではないでしょうか。次回はワンちゃんによく見られる“脱毛”について解説します。

動物の皮膚病 〜 家族が知っておくと良いこと A 〜

今回は、ワンちゃんに多く見られる「脱毛」について解説します。犬の被毛は、犬種によって短毛・長毛、またシングルコート・ダブルコートなど本来の生活にあった特徴を持ち合わせています。こうした特徴は、気温、湿度、紫外線量、食事、運動量などの生活に応じて快適に過ごせるようにできています。しかしながら家庭犬をとりまく環境は、犬種本来のそれとは程遠く、動物の体にとって多くの負荷が存在します。この負荷が正常な状態に不安定さを生じさせ皮膚病でなくても、通常より毛の抜ける量に変化を与えることがあるのです。
獣医師は、脱毛を診察する際、その犬種、年齢、生活環境、体質などを考慮したうえで、正常か異常かを判断します。通常、皮膚が見えるほど毛が抜けた場合は異常と判断します。このように病的脱毛が考えられるときは、大きく2つの原因が考えられます。ひとつは毛周期の異常で、本来の毛周期と違うサイクルで異常に毛が抜けてしまい、左右対称などの規則性を認める場合です。この場合、クッシング症候群や甲状腺機能低下症などの内分泌疾患が疑われます。もうひとつは、毛包と呼ばれる毛の根元の異常です。皮膚や毛にダメージを受け、部分的または不規則な脱毛が起きます。この場合、膿皮症や皮膚糸状菌感染症、ニキビダニ寄生などの疾患が疑われます。
家族が動物の脱毛に気づくのは、全体の30%が抜けてしまってからと言われています。ブラッシングやシャンプーを行う際に、動物を十分に観察し、脱毛を早期に発見、対処することが重要となります。次回は動物にとっても家族にとっても大きなフラストレーションとなる「かゆみ」について解説します。

 動物の皮膚病 〜 家族が知っておくと良いこと B 〜

  今回は動物にとっても家族にとっても大きなフラストレーションとなる「かゆみ」について解説します。「かゆみ」はその原因によって3つに分けることができます。
一つ目は「かゆくないかゆみ」です。これは寝る前に前足をペチャペチャ舐めるといった一種のくせであったり、掻く動作をしていたらみんなが注目してくれたという経験から学習し、注目して欲しい時にする動作です。またストレスからの回避行動の一つとして、耳を後ろ足で掻く動作をすることがあります。
 二つ目は「生理的なかゆみ」です。これは暑さ、寒さ、汚れ、何かにこすれるなどの物理的刺激によって生じるものです。家庭犬が暮らす環境は本来の環境とは異なるため、様々な刺激が存在し、かゆみを感じやすい状況にあるといえます。生理的なかゆみが頻繁に起こるようであれば、体質、皮膚・被毛の状態、季節に合わせて、スキンケアを見直す必要があります。
 三つ目は「病的なかゆみ」です。これは感染症やアレルギーなどが原因となって起こるかゆみです。かゆみの感じ方や程度は個体差がありますが、かゆみによって、皮膚を掻きこわしたり、かんだりしている場合や、いつ見てもかゆがっている、また眠れなかったり、皮膚に異常を認めている場合には治療が必要となってきます。
 動物がかゆがっている姿を見たら、そのかゆみは前述のどのタイプに属するのか、かゆみが生じる頻度・強さ・状況・時間帯、体のどの部位を特にかゆがっているか、皮膚・被毛に異常はないか確認しましょう。生理的なかゆみでも頻繁に起こる場合や病的なかゆみであると予想される場合は早めに獣医師に相談しましょう。

 動物の皮膚病 〜 家族が知っておくと良いこと C 〜

  今回はご家庭のワンちゃんが皮膚病で動物病院にかかる際、病院でお話しいただきたいこと、獣医師がお尋ねしたいことについてです。
皮膚病治療を行う際、身体検査の前に必ず行うことが病歴の聴取です。この時にご家族がいかに多くの情報を提供してくれるか、いかに情報を引き出すかが大変重要になります。
病歴の聴取においてお聞きしたいことは主に、現病歴、既往歴、家族歴、予防歴、環境、食事です。現病歴としては、いつから、どのうような発疹が、どこに発症したのか、かゆいのかかゆくないのか、また誘引物質の存在や、すでに実施した治療に対する反応、さらに全身状態を含めた皮膚病以外の気になる点、異常な点などをお話しいただきます。
既往歴としては、過去に皮膚科以外の内科疾患や外科疾患を患ったことがあるか、ノミやダニを見つけたことがあるか、皮膚病発症の季節性や発情との関連、シャンプーの種類と回数について、またワンちゃんの生活する場が主に室内なのか室外なのか、同居動物の有無、食事の回数、フードの種類などこれらを過去との比較もふまえて確認させていただきます。その他性別に関しては、単に雄雌のみならず、避妊、去勢手術の有無、偽妊娠の有無、性行動の問題、さらには排尿姿勢の変化なども皮膚病を診断する際に重要な情報となってきます。
動物は言葉が話せないので、ご家族から状態、経過など詳しく聴取することが、我々皮膚病を診察する獣医師にとって第一歩となります。皮膚病で動物病院にかかる時はご家族の中でワンちゃんの状態を一番把握している方にご来院していただき、あらゆる情報を提供していただくことが大切です。

家族が知っておくと良いこと 〜 皮膚病治療成功への近道 D 〜

  これまで動物が皮膚病になった時に家族が知っておくと良いことについて、「動物の皮膚構造」、「動物の脱毛」、「動物のかゆみ」、「動物病院でお話し頂きたいこと」、と4回に亘って解説してまいりましたが、5回目最終回として、動物の皮膚病根治にいたる最も大切なことをお話しさせていただきます。
皮膚病は、獣医師だけでなく家族の皆さんも、かゆい、毛が抜ける、よくなってきた、悪くなってきたということが明瞭に判断できる特徴をもつ疾患であります。ゆえにご家族の判断のみで、獣医師が望む治療に変化をつけたりすることもまれではありません。獣医師側も、こういったことのないようインフォームドコンセントを大切にしていますが、実際に投薬やスキンケアなどの治療するのは家族であり、それを受け入れ治療されるのは動物たちです。また、皮膚病は鑑別診断リストから、その一つ一つに診断的治療を行う代表的な疾患です。よって、最終的な治療にいたるまで非常に時間を有するものもあり、根気強く治療を続けていかなければならないこともあります。獣医師は、皮膚病を克服するための方向性を決める道案内役であると思っています。家族がいかに動物の患っている皮膚病を理解し、3者がいかにうまくスクラムを組めるかが治療成功への近道になるのです。
すべての疾患において言えることですが、皮膚病においても早期発見・早期治療が非常に大切になります。皆さんの家族である動物に普段と違う異常を発見したら、できる限り早めの診察をお勧めいたします。

 










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